和歌山県でフェンシング女子フルーレの日本代表合宿がありました。今回の合宿は、私にとって自分のプレーと何なのかと「もがいた」合宿となりました。久しぶりの合宿で、今までにない自分の良い変化を感じつつ、自分に足りないところは何だと「もがいた」ことで見えた、出会えた気づきがありました。この和歌山合宿を振り返りつつ、今の心境をお伝えします。

実践練習がメインの和歌山合宿

11月3日~13日まで和歌山合宿へ行ってきました。
今回の合宿を一言で表すと「もがいた」です。
「もがいた」からこそ、新しい景色を見ることができた合宿でした。

合宿内容はファイティング(実践練習)をメインにしつつ、フットワークやフィジカルトレーニングを行いました。
コロナウイルスの練習縮小もあって、午前と午後の両方でファイティングをする機会はしばらくありませんでしたが、今回は午前と午後でファイティングが出来ることを懐かしく感じました。

ファイティングでは試合形式で、個人戦や団体戦、課題形式やフリー形式で行いました。
また、各地のコーチが集まった日があり、その日は普段教えてもらわないコーチにレッスン(選手とコーチが1対1で練習するもの)を取って頂きました。

この合宿中は1日オフがありませんでしたが、午後オフがあり、そのつかの間のオフに温泉でゆっくり疲れを癒したり、和歌山ラーメンを食べて過ごしました。


(フィジカルトレーニング中。ラダーをしているのが私です)

「もがいた」合宿での日々

和歌山合宿で、私は「こうかな?ああかな?」と、もがいていました。
自分の中で「これだ!」と思えるようなパッとするプレーが出来なかったのです。

合宿の始めは、自分のフェンシングを試せて楽しい!と思っていましたが、少しずつ自分のイメージと実際のプレーが噛み合わなくなり、「あれ?」と感じるようになりました。

「合宿入る前に感覚の調子を取り戻したのに、なんで今のこの合宿中にまた狂うの」と思う時もありましたが、合宿のお供に持っていた本の中に「すべてうまくいくことを確認するためにテストがあるのではなく、どういうところに不具合を生じやすいかを見つけ出すために何度も何度もテストを繰り返すのです」と書いてあるのを読み、今起きていることは偶然ではなく必然であると感じ、この瞬間をどうしようか楽しもうと思いました。

この合宿で「自分、良かったな」と思えることは、今(勝つために)やっている技やプレースタイルを貫いたことです。なかなか勝てず悔しいと思う時もありましたが、小手先の技に頼る事なく、自分の軸を持ちながら取り組むことができました。また、その取り組み中には、修正するべき点が転々と思い浮かんだり、「あ、そういえば前にコーチにこう言われたてたな」という言葉を呼び起こすことができました。

きっと、少し前の私であれば「なんで出来なんだろう」のフリーズ状態に陥りがちだったと思いますが、修正するポイントを自分自身に投げかけ続けることができたのは、1つの進歩です。

修正点に働きかけたことによって、合宿全体から自分のプレーを見てみると少しずつ良くなっていきました。が、しかし。

最後まで「これだ!!」と思うものは、掴めなかったのです。

不具合の原因は「構え」にあり

このように、心も身体も「もがいた」合宿でしたが、この合宿がきっかけに、自分が生じた不具合の理由や、今の自分に必要な考え方を知ることができました。

私の1番の課題であるのが「構え」です。
「何言ってんだよ。初心者じゃないんだから」と思う方をいらっしゃると思いますが、基礎は侮れません。


(レッスン中の写真)

「構え」が整っていないことには、全てが崩れていきます。
それはボディバランスや身体の使い方だけではなく、相手との間合いや戦略もです。

フェンシングには様々なプレースタイルがあり、構えの形も人それぞれです。
剣の種類、剣の持ち手が違うだけで、その人の強さを引き出す構えが変わります。

私は自分の使っている剣や持ち手に合う考え方を全体的に捉えていましたが、細かい部分の原理原則を見つけられていませんでした。

だから感覚が狂った際に、すぐ修正ができなかったのです。

合宿後の練習で、自分の思うようなプレーが出来なかったとをあるコーチに相談した際に、構えの指摘で、剣を置くポジションと胴体の角度について教えて頂きました。

そこを修正した際に、私の感覚が一気に変わったのです。
まずは身体の軸が中心に収まりました。そして自分の持つ剣の剣先部分の感覚が増し、相手を突く良い感覚や、間合いの差を実感したのです。

思わず「これかぁ!」と言ってしまいました。

この気づきは、「できない」「わからない」を突き詰めようとしたからこそ、感じ取れたものだと思います。これを忘れないように、定着させるように基礎固めの練習に今、取り組んでおります。

今後の取り組みが合宿の価値を決める

今回の合宿は「やった終わったー!達成感!」というよりも、「よしっ、これからだ!」と思うものとなりました。

これからの取り組み次第で、今回の和歌山合宿が良いものとなったかどうかが決まってくると思っています。

合宿後のオフに観た『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で、主人公の竈門炭治郎が、「何か一つできるようになっても、またすぐ目の前に分厚い壁があるんだ」と言った際に、「確かに!!」と心の中で思いました。強くなるためには、この壁を超える繰り返しが必要不可欠ですよね。

そして、所々を同業者目線で観てしまう鬼滅の刃。
とっても刺激を受けました。


(ファイティング中。右が私)