こないだ、スポーツ学入門の授業で「二次元気分度尺度」というテストをしました。
これは、自分の心理状態をモニタリングして「心の活性度」と「心の安定度」を測定する検査です。得点結果を「快適度」と「覚醒度」を2軸とする二次元グラフに示すことで自分の心理状態を知り、快適な水準に調整することに役立ちます。
目次
⇒自己分析診断に使った「二次元気分尺度」テストの方法
これは、「ある動作をする前の自分」を決めて8つの質問に2回答えます。
1回目は、「ある動作をする自分」のBest(良い状態)、2回目はWorst(悪い状態)で、5つの選択肢の中から1番近い回答にマークをします。
そして、回答結果を2次元グラフにすることでBestとWorstの気分の変化や違いを図で表すことができます。
自分を知ることでスランプ脱出のきっかけになるテスト結果
私は、「試合する前の礼をする自分」のBestとWorstに注目しました。
5つの質問は、「落ち着いた」や「イキイキした」などの心理状態を尋ねるもので、「全くそうではない」から「非常にそう」と0から5の番号で、自分の気持ちに当てはまる番号に〇を付けます。
そして、各回の回答の数字を
- 活性度
- 安定度
- 快適度
- 覚醒度
を求める公式に当てはめて、計算をします。
グラフで使用するのは「活性度」と「安定度」の2つです。
計算をして出した得点範囲は-10から+10です。
活性度
+:イキイキして活力がある状態
-:だるくて気力がでない状態
安定度
+:ゆったりと落ち着いた状態
-:イライラして緊張した状態
活性度と安定度の位置に印を付け。それが交差するところに点(Bestは〇、Worstは●)を付けます。
私は、1回目(Best)は活性度が8で、安定度が3でした。
2回目(Worst)は活性度が4で、安定度は-1でした。
これをグラフにすると次のようになります。
●から〇に矢印を結び、気分の変化と方向の大きさがわかります。
矢印が左上(安定度側)に向けばWorstな時に「あがりタイプ」な人
矢印が右上(活性度側)に向けば「だらけタイプ」の人です。
あがりタイプの人は、深呼吸などを行うことで気持ちを落ち着けるのが効果的です。
一方で、だらけタイプの人は、身体を叩くなどのサイキングアップを行うことで自分を興奮状態に持っていけます。
そして、私のような真っすぐなタイプは、「上がり&だらけのスペシャル」です。
上がりとだらけの両方でWorstになる人です。
また、矢印が長いと気持ちに左右されやすいと言われますが、それの良し悪しは個人差があるため絶対とは言えません。
このグラフの解説で先生が「矢印が短い人は、自分のことがわかっていないのかもしれないね」と言っていました。
自己分析診断からわかる自分の試合パターンを分析
私は矢印が短くて、方向がまっすぐなので、自分のことを理解し直す時間を設けました。
振り返った結果、Worstな場合ではグラフ通り、「上がり」と「だらけ」がありました。
気合から来る「上がりタイプ」の私
上がっている時の特徴は、結果を意識しすぎて気持ちが高ぶっていることです。
「勝ちたい、負けたくない」のことばかり考えて、プレー内容に目が行っていません。
試合の映像を見返すと、上がっている私は声を出しすぎる状態になっています。
「声を出しすぎる→気合を出しすぎて力む→力んで動きが硬くなる→単発→試合展開が早い」
フェンシングの個人戦のトーナメントは15本勝負で、時間は3分を3セット行います。
勝敗は、15本を先取した選手が勝利。時間内に15本を取っていない場合は、点数が多い選手が勝ちとなります。
フェンシングは攻守のやり取りを頻繁にする競技なので、単発のような1度だけの動作では、相手にかわされて突かれてしまいます。
そして試合展開が早くなると、負けている場面で「やっと相手の特徴を掴んだ!」と気づいた時には既にもう少しで15本になるという状態になりがちです。
まさに「時すでに遅し」です。
そうならないためにも、時間をかけて相手の様子を窺う必要があります。
つまり、気持ちだけが先走ってはいけません。
3つの原因から来る「だらけタイプ」の私
逆にだらけている時の特徴は、緊張を全くしていない状態です。
この状態になる原因は、3つあると考えました。
1つ目は、試合前に気が張りすぎて「いざ試合!」となった時に疲れていることです。
この時の私は、気が自分だけでなく周りにも行っています。
また、試合の雰囲気にのまれている時、団体戦でチームメイトを気にしすぎる時に陥りやすくなっています。
2つ目は、見落としからくる油断です。
それは、「前に戦ったことのある相手だから」や「リードしているから」という安心から来て、いつもしている技の確認や試合展開のイメージを怠って試合に入るのが原因です。
3つ目は、身体をほぐしすぎた、または起きていないからです。
フォーミングアップで、身体を動かすより伸ばす割合が多いと、動きのキレがなくなります。また、私は身体が起きていない状態で試合に臨み、思うように動けなかった経験があります。
それは、ドイツのワールドカップです。
試合2日前にドイツに着き、試合前日は練習する場所がなく、動き足りずに試合当日を迎えました。
今思えば、ホテルの部屋でストレッチを行い、身体の可動域を広げるべきだったと反省しています。私は、試合前日だからといって身体を動かさないより、身体を軽度に動かすことが良いパフォーマンスに繋がると学びました。
悪い状態になる共通点とは。良い状態とはどんな時
この「上がり」と「だらけ」の自分に共通していることは、結果を意識しすぎて空回りしていることです。また、自分に集中しきっていないので自分の変化に気づきにくい状態となっています。
その点、自分がBestの状態では、緊張しつつ落ち着きもあります。その緊張感は「自分の力を相手に試す」という前向きな気持ちです。また気持ちが高ぶりすぎると上がりタイプとなるため、深呼吸を頻繁に行っています。
自分に集中しているからこそ、緊張度合いをしることができ、それを抑えるために深呼吸ができます。よくスポーツ選手がフードを被って、イヤホンをするのは、他者に気を向けず、自分と向き合うための意味があるのではないかと思いました。
また、私は良い時だけでなく悪い時のイメージもしています。
試合では、自分や相手、審判や会場など様々な要因から試合が成り立つため、すべてが最高の状態でプレーできる確率は低いです。
どんな状況でも受け入れる準備をすることで、ある程度のアクシデントでは動揺しません。
二次元気分尺度の診断シートでわかった私流の自己分析結果
このBestとWorstの差を知ることで、意識的にBestへ導きやすくなると思います
私の場合はBestとWorstが紙一重の状態です。「勝つために力を発揮しよう」という気持ちを自分に注げるかが鍵となります。
自分を思い通りにコントロールできるように、今回みつけた特徴を生かしてこれからの練習や試合で試していこうと思います。そして、少しずつ確実なものにしていきます。
これは私にとって、より安定したプレーができる選手への第一歩です!