2019年ユニバーシアード夏季大会に出場する選手を決める代表選考会が行われました。
結果は4位で補欠代表。今回の試合で見つけた自分の「強さ」と「弱さ」を自覚し、今後の試合に向けて準備をしていきます。

ユニバーシアード予選で知った「強さ」と「弱さ」

4月14日(日)に駒沢オリンピック総合運動場の体育館で、第 30 回ユニバーシアード(イタリア・ナポリ)夏季大会 日本代表選手選考会が行われました。
今大会の上位3名が派遣選手となり、4位と5位は補欠選手となります。

私はスーパーシード(出場選手の中でランキング上位8位がなるシード権)として出場し、予選の5本勝負が免除で、トーナメントの15本勝負からの戦いました。

結果は4位。「この大会で優勝して代表になる」と臨んだ試合でしたが、派遣選手になるにはあと1勝が足りませんでした。

この試合で私は、プレーの面での「自分の強さ」と日常生活でも現れる考え方が「自分の弱さ」だと知りました。

強さを発揮する勇気が出た言葉

「これが私のプレーだ」と気づいたのは2回戦の5対8で相手に負けている2セット目です。

4点差を離されると気持ち的に苦しくなるため「これ以上は点差をつけたくない」と思っていました。また「これは私に必要な試練だ」と思い「ここの踏ん張りで勝負が決まる」と感じました。

だからこそ「何としても食らいつく」

そう思った直後にある言葉が私の頭に浮かびました。

「ダメかもしれない」と「できるかもしれない」の確率は同じ。
だったら「できるかもかもしれない」と考えたほうがいい。

その日の会場に向かう電車の中で読んでいた植松努さんの『NASAより宇宙に近い町工場 僕らのロケットが飛んだ』の内容です。

私は「確かにそうかもしれないなぁ」と自身の経験と照らし合わせて共感し、その言葉を3色ペンの赤色で縦線を引いたのです。

その言葉を思い出した私は「身体は思い通り動くかどうか」と気にしてプレーをしていたことに気づき、「私の身体は思うように動く。そのために練習してきた。だから考えずに感じたことをやってみよう」と気持ちを入れ替えました。

粘り強いフェンシングで流れを掴む

そして私は「ここがチャンス!」と思う瞬間に出会うために、足を使ってタイミングを待つようになり、始めは手探りで点数に繋がることはありませんでしたが、少しずつ相手の特徴を見つけていきました。

「あの動作をした後が狙えるな」と思い、「染みついた感覚」に身体をゆだねて、時間をかけて1点1点を狙うことで試合の流れが私に傾いていきました。

すると5対8で負けていた場面から8対8へと追いつき、3セット目の最終ラウンドでは相手と点差を広げて、14対10の時間切れで私が勝利しました。

リードされている状況から自分を立て直し、我慢しながらチャンスを窺えたのが勝利に結びつきました。

コーチの言葉を試合中に理解

この試合中に私はコーチに教えてもらった「自分の良さ」の意味を理解できました。

2月のイタリアでのワールドカップで、自分がどうすればいいか迷った時にコーチから「梅津の良さが出てないよ」と言われ、混乱していた私は「私の良さは何ですか?」とコーチに聞いたところ「粘り強いところ」と答えが返ってきました。

「粘り強さ」の意味を知っていたつもりでしたが、試合で「粘り強さ」が勝利に繋がったと実感したのは初めてだったので「粘り強さはここで生きてくるのか」と知ることが出来ました。

日常での考えが試合で「弱さ」として現れた

自分の良さに気づけた一方で、負けた試合は自分の弱さが露わになりました。
技術的な弱点もありますが、「フェンシングはその人の人生が現れる」の言葉の通り、日常生活でも感じる私の弱点が試合に出てきました。

その弱さとは「やったことに安心する」ということです。

今回の大会はトーナメントからの出場で、1発目から負けたら終わりのトーナメントです。私は1試合目から最高の状態で戦うために、ウォーミングアップを入念に行いました。

今回は新しい試みとして、試合中に相手の動きを集中してみるためにウォーミングアップは自分の身体と向き合おうと、身体を感じながら動きました。

そのウォーミングアップのお陰で、トーナメントの初戦で身体が思い通りに動く感覚がありました。良いスタートを踏み出しましたが、「今日はできる」と私は思い込み、それが落とし穴でした。

準々決勝まで勝ち進み「私の身体は動く」と実感から過信へと変わっていました。
「勝ったままの勢いを保ちたい」という願っていたのです。

ユニバーシアードの代表が決まる準決勝や3位決定戦は、持ち味の粘り強さが消えていました。試合後に「なんで足が動かなかったんだろう」と振り返ると、試合前の行動に原因があったのです。

大事なのは「やる」ではなく「やってどうなる」

私は「身体は動くから気持ちを整えよう」と思い、試合前はベンチに座り、目を閉じて良いイメージを浮かばせていました。
確かに気持ちとは向き合っていましたが、身体と向き合うことは一切していなかったのです。
1試合目のウォーミングアップを念入りに行い、良いスタートを切り勝ち進んだから今日は大丈夫と安心していました。

身体は疲れているはずなのに、気持ちだけに注目してしまい、身体を気にすることはありませんでした。

振り返れば「良い状態を保つのはこんなに疲れるんだ」とふと思いましたが、それは身体の声だと今になって思います。

「これだけやればOK」といった量ので考える自分がいることを知りました。
大事なのは「やった」ではなく「どうなった」だと改めて感じます。

行動に工夫と追及を入れ続ける

そう考えるとフォーミングアップは「この項目をやったから準備完了!」ではなく、「今日は身体のここが動きにくいから、あれをしよう」といった「DO」ではなく「HOW」と考える癖が必要です。

自分の行動が「本当に今すべきことか」を疑い、より良くなるような「どうすれば良いか」を探り、工夫を入れ続ける。
そうすれば安心している時間はありませんよね。

次の試合に向けて「これをやった」にプラスして「だからこれができるようになった」や「次のステップとしてここを気を付けよう」といった「量<質」にこだわっていきます。

何事も1つひとつの積み重ね

次の試合は5月8日と9日のリーグ戦。
大学対抗の団体戦です。

学年が変わり新メンバーで挑む最初の試合で、「キャプテンとしてチームために全力を尽くす」と思いつつ「何かあったらみんなに頼ろう」と仲間を信じて戦います。

このリーグ戦も大学生活最後です。
1年生の時は優勝したものの、私はベンチで先輩方の試合を応援するだけでした。
「私も試合に出たい」と強く思い「出るためにはどうすれば良いか」「どんな選手が必要とされているか」を考え始めたきっかけになった大会です。

すぐには変われなかったけど4年目になった今では団体戦に対する考え方やプレースタイル、仲間がいる喜びをの違いを感じます。

理想は日々高くなり、まだまだ発展途上で反省する部分が多いですが、突き詰めているから感じることなので「なんでできないのだろう」と不安に思わず、「今回のお題はこれ!」というようなクイズを1問ずつ解いていくように、持てる力をフルに使って取り組んでいきます