スポーツで力を発揮するには上手くいった成功体験を意図的に作らなければいけません。
自分の「良い状態」と「悪い状態」を知り、ベストコンディションで試合に臨むために自分に合う行動の習慣を探すことが手掛かりになると考えます。

試合前の心構えでプレーも変わる

9月23日(日)に第51回東京都シニア女子フルーレ個人選手権大会(都シニア)、10月1日には福井国体(県対抗団体戦)が行われました。結果は都シニアが17位で、福井国体が8位でした。

都シニアでは目標であったベスト8を意識しすぎて「あと何回勝てばベスト8だ」「この試合の次はあの人かな…」と集中しつつも、心の片隅で先を意識しながらプレーをしていました。

そして結果を先走って考えることで気持ちが「守り」に入り、私らしい「思い切ったフェンシング」がでませんでした。

都シニアの反省点であった「結果を意識しすぎない」を活かして目の前に集中し、10月1日の福井国体は「勝つために今、すべきことは何か」を考えて戦いました。

私は後先を考えるのをやめて、「今」に立ち向かうことで、今まで練習で成功しても試合では失敗していた「振り込み技」を初めて成功させることができました。

また都シニアと福井国体のプレーを映像で比べると、福井国体のほうが足を動かせており、攻撃のスピードが上がっています。

試合前の「結果を意識する守りの気持ち」から、「今の行動を結果に繋げる攻めの姿勢」にシフトすることで、試合でのパフォーマンスの違いを実感しました。

また練習の成果を試合で発揮する方法を知れば、試合に私はもっと強くなれると確信しました。

良いパフォーマンスの行動を分析することで再現をしやすく

都シニアと福井国体を振り返ると、気持ち次第でパフォーマンスが変わると感じました。
また私は過去の試合の良いパターンと悪いパターンを含めて、自分は試合前に「どんな行動をすると、どんな気持ちになり、フェンシングにどう影響しているのか」を思い出して、分析しました。

気持ちが空回りする試合では「気を抜いてはいけない」「足を使わなければいけない」、「この時はこう」と抑え込む言葉を自分に投げかけ、型にハマったフェンシングになり、相手に作戦がバレ、駆け引きができませんでした。

つまり自分を抑え込む規制が、気を張り詰め、思考を固めていたのです。
思考が固まれば、動きにも影響し、力が入りすぎたプレーになります。

私が伸び伸びとプレーをするときは「これができそうだからやってみよう」と思い、身体が勝手に動いて「自然とできていた」となります。

良いプレーをする試合は、自由な発想が自然と身体を動かしていました。

「○○しなきゃいけない」という固定観念に縛られていないため、相手の全体を見ることができ、冷静になれます。冷静になれば体の力が抜け、相手がいきなりきても反応でき、攻撃で前に踏み込むリーチの伸びに繋がります。

力を発揮するように仕向けるヒントは「試合前の待ち時間」

試合で実力を発揮するためには自分の「良い状態」と「悪い状態」を知り、悪い状態を回避し良い状態に近づけなければいけません。

その近づける方法を知っていれば「運が悪い」「調子が良くない」とネガティブに留まらず、自らが良い方向へ持ちこみ、安定したパフォーマーになれます。

私は良し悪しにはどのような差があるのか、試合前の自分の行動は何をしているのかに注目しました

悪いとき

  • 試合前の待ち時間が長く、準備完了の状態を保ち続けている
  • 周りの人とほぼ話さず自分の世界に入り、気を付けることを心の中で唱え続けている
  • 気が入り過ぎて息を吐いておらず、肩に力が入って緊張している

良いとき

  • 試合に入る前に「よし」と言っている
  • 個人戦や団体戦で、自分の試合の前に誰かを応援している
  • 周りを気にする(チームメイトや練習の危険になるもの)
  • 誰かと笑顔を入れて話す
  • 準備完了の時間が長いと、気を付けるところを意識しすぎて、頭と心が固まっていました。
    また準備完了を保ち続けるのは、集中力をキープするので疲れます。

    一方で良いときは自分にとって「心地の良い状態」になっています。
    団体戦ではチームに明るさを入れようと、「よし!」と独り言のように言っています。

    個人戦や団体戦でも自分の手が空いれば、仲間の応援をします。

    きっと応援で話す行為が「息を吐く」ことになり、吐くことで力が抜けて良い状態を導いているのでしょう。

    振り返ると大学生の試合は「緊張しすぎて動けなかった」があまりないです。
    私が1年生で初めて出場した団体戦では、心臓バクバクでしたけど(笑)

    大学の同期に言われて気が付いたのは「私は緊張すると、やたら話すか黙り込む」ことです。

    女子の同期に「梅ちゃん今日すごくうるさいね。緊張してるの?」と言われ、他の大学の友達には「試合になると話さなくなるよね」と言われました。

    自分らしくいれる心地良い環境を作り出すこと

    私は程よい緊張感がベストな力を出せる気がします。
    黙り込むのは緊張しすぎている証拠です。

    緊張のし過ぎを回避するためには「自分のペースで息を吐くこと」

    そのために誰かと話したり、試合直前に「よし」と呟くのが1つの手段だと思います。

    また「どんな風に話せば自分が心地良くなるか」、「自分は何をしていると心地良いのか」も知る必要があります。

    音楽を聴くと動きは良くなるのか、ジャンルは何か、どのタイミングで深呼吸を使えばいいか…

    今はまだ「これが絶対に良い」という方法は見つかりませんが、「これはどうかな?」と仮説を立て、実践し、試行錯誤をしていきます。

    あれこれ規制を使ってガチガチに固めるコントロールをするのではなく、自分らしくいれるチャンネルを持ち、スイッチの切り替えが上手い選手になりたいです。