コロナの影響で開催されていなかったフェンシングの国際大会の舞台がカタール・ドーハで行われました。大会に出場して気がづいた自分の課題と伸びしろ、そして海外選手やトップ選手の持つ強さは何かを自分の肌で感じ学んできました。
カタール・ドーハで行われた国際大会
新年度がスタートし、春風が心地よい季節となりました。
私はもうすぐ3月下旬に行ってきたカタール・ドーハ遠征から帰国して1週間が経つところです。ドーハGP(グランプリ)大会に出場して感じたこと・気づいたことが言葉にまとまってきました。私にとって約1年ぶりだった公式戦&国際大会についてお話したいと思います。
(大会会場はこのような雰囲気でした)
遠征の食事や生活の様子
遠征中は問題もなく無事に行って帰ることができました。
コロナ対策で、ドーハの空港に着いたらすぐPSR検査を行い、宿泊先のホテルでは検査の結果がでるまでの各自部屋で24時間の隔離をして過ごしました。
滞在期間中のホテルの食事は、時間になると部屋に食事が運ばれるスタイルでした。
(滞在中の食事はこのようなものです)
時には朝食のいつも付いてくるはずのパンがなく、次のお昼にパンが2つ入ってきたり、カレーとタイ米のセットのはずが間違えてカレーとカレーで運ばれてきた日もありました(笑)
食事は全体的に口に合っていたので不自由はなかったです。
ドーハ滞在中はホテルと会場だけの行き来で過ごしました。
試合前の会場での練習は1度だけで2時間弱ほど。
部屋にいる時間が長かったのですが、幸いにして部屋は広めだったので、できる事をしていました。
そして迎えた久しぶりの国際大会。
試合前日の朝から緊張していました。
当日の朝に緊張してくるのはよくある事ですが、前日からソワソワするのは珍しかったです。
試合時間に合わせて指定されたバスに乗り、会場に入ります。
参加者は143人。
予選は6~7人のリーグ戦を行いました。
私は現地時間12時から試合がスタート。
試合を始める前には、審判から試合の直前でマスクを外すこと、点を取った時に叫び過ぎないことの指示を受けました。
細かいところの追求が必要
自分の力試しで挑んだ今回の国際大会。
結果は自分も予想外の予選リーグで1勝もできずに予選落ちでした。
振り返ると、緊張のせいか自分が縮こまってプレーしていました。
今まで気にしていた「距離とタイミング」もピスト(舞台)の上では上手く作り出すことができず、なかなか相手と良い距離感を見つけられなかったり、私が相手の動きにすぐ反応してしまって相手に簡単にポイントを与えてしまう場面が目立ちました。
試合の待機中に「まだまだこれから」「これはチャンス」「リセットして次!」など自分に言葉をかけていたのですが、なかなか自分に沁み込まず、まさに「頭が真っ白」というのはこうゆうことかと思いました。
正直、最近は色んな手ごたえを掴み始めてきたので、この結果に凹みましたが、今の自分に出来ていないことが大きく出たと感じています。
試合を振り返ると、
- 試合への入り方(心技体)
- 身体の全体の節々の使い方
- 些細な間合いの変化の理解
- 無意識にやってしまう癖の克服 など
この「細かいところ」が今の自分ができていない部分だと知りました。
このちょっとしたことが命取りになり、その出来るか否かで勝敗が変わる。
つくづく勝負は表裏一体で成り立っていると実感です。
私が思う海外選手やトップの選手の強さ
久しぶりに海外の選手と対戦して感じた事は、彼女たちには「強さからの上手さ」があること。
ただ単に技術が上手いというのではなく、強さがベースで生み出されているのを感じます。
突きにくる剣、剣と剣が触れ合った時に感じる重さ、そして気迫が強いです。
私は今回の大会で、強さとは「主張」であるのではないかと思います。
「私は相手の剣を払いました」「自分から叩きにいきました」「私が先に攻撃しました」という身体を使った主張。
今回の試合の中で「え、私じゃないの!?」と思うプレーがありました。
私は「自分から相手の剣を叩きにいった」と思っていましたが、審判は「相手が私の剣を払った」と判断したのです。
自分でも叩いたと思っていたのでその時にはわかりませんでしたが、後で自分のプレー動画を見返すと、確かに相手のほうが優位に見えます。
ただの力の強さではなく、自分のやっている事に対する主張が強さを生んでいるのではないかと感じます。
またトップの選手は、主張の環境づくりが上手いです。
距離の設定の仕方やフェイントの見せ方で、思わず相手が反応してしまう環境をつくり、自分が突きやすい環境を自らが作り出しているように見えます。
今回は今まで気づけなかった「自分に足りないもの」や「強い人が持っているもの」を肌で感じることが出来たのが貴重な経験でした。
「出来なさ」から始まる進化
大会でこんなに出来なさを痛感したのは久しぶりでした。
しかし、この「出来なさ」がなければ始まらない。
有難いことに、勝負の神様は中途半端に私を勝たせてくれないようです。
「しっかり自分を見直おせや」と厳しく教えていただきました。
大事なのはここから。
この結果を踏まえて「自分が今をどう生きるか」。
「あの負けがあったからこそ、今の私がいる」と思えるために、新たなスタートを踏み出しました!