書店「読書のすすめ」の店主である清水克衛さんの本『逆のものさし思考』を読みました。社会の話題に触れながら、現代は「幼稚化」している傾向があると知りました。幼稚な大人にならないために、身に着けたい眼のヒントがこの本に隠れています。

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「こんな大人なりたくない!」と思った

1月11日は成人の日でしたね。
新成人の皆さん、おめでとうございます!

私が成人式をしたのは約3年前。たった3年しか経っていないのに、ずいぶん前の出来事と感じます。
学生の頃は考えもしなかったのですが、社会人になってからは、出会った人を見て「こんな素敵な大人になりたいな」と思うことが増えました。

その方々は、分野は違っておりますが、共通しているのは「輝き」です。
上手く言葉にできませんが、何か透き通っているような、包み込むような、風が吹くような、磨いているような、そんな感じが漂います。

成人の日に因んで!!

っと、狙ったわけではありませんが、私が最近読んだ本で、「こんな大人にはなりたくない!」と思えた1冊がありました。

今回はそれをお話したいと思います。

清水克衛さん『逆のものさし思考』

私が「こんな大人にはなりたくない」と思った本。
それは、清水克衛さんの『逆のものさし思考』です。

『逆のものさし思考』

この本との出会いは、都営新宿線の篠崎駅にある書店「読書のすすめ」です。
『逆のものさし思考』を書いた清水さんは「読書のすすめ」の店主をしています。

清水さんの本は、今の世の中を俯瞰した視点でみており、様々な本や時代を超えた人物を紹介しているので、不思議とタイムスリップしながら、本と出会う方々からメッセージを受け取っている気がします。

また、清水さんが現代に対することをズバズバ言っているところが面白いです。

この『逆のものさし思考』を読む中で、私が「こんな大人になりたくないなぁ」と思う箇所がいくつかあったので、ここに書き留めたいと思います。

「逆のものさし思考」とは、簡単に説明すると、常識を疑い「本当のことは何か」「世の中で言われていることの裏には何があるのか」という問いと向き合うことです。

以下、文中にこのような例えがありました。

たとえば、船で川下りをしていて一方の岸に桜が咲いていたら、乗っている人は花が咲いている側に寄っていきますよね。でも「桜がキレイキレイ、見たい見たい」と皆が片側に寄ってしまったら船は転覆してしまいます。そうならないためには、周りが騒いでいても「花が咲いている岸の反対側に立って転覆を防ぐんだ」と考える人がいなければならないのです。
逆のものさしというのは、まさにこういう視点のことをいいます。

あらゆる考えで世界が釣り合っていると思えます。

現在の日本人は幼稚化している

この本で私がハッとしたのは、「現代の日本人は幼稚化している」という部分。

幼稚化しているというのは、

  • 判断基準が好きか嫌いか、損か得かしかない
  • 自分で「なぜだろう」と考えないで、「だれだれ先生がこう言ったからそうなんだ」と言って何の疑問も持たない

ということです。

驚いたことに、最近は本が本来の本質から外れていると言われています。

今の出版業界は売れるのが第一優先で大衆に合わせて作っており、本を出そうとしたら95%の人に向けた企画書を出さなければいけない。そして今売れている本は簡単な(清水さんが言うにはサルでもわかる)本であり、本にはわからない事が書いてあるという「本来の本の姿」が失われてしまっているというのです。

私も一時期、ビジネス書(ノウハウ本や、損する○○得する○○など、わかり易くまとめたもの)を好んで読んでいました。が、ある日。ビジネス書を食べ物で例えるとエネルギーゼリーなのではないかと思うようになりました。

すぐに吸収してエネルギーになるが、腹持ちは良くない(小手先になる)。

腹持ちが良く飽きないもの(流行り廃りではなく、時代が変わってもずっと残る普遍的なもの)を自らで咀嚼し、血となり肉となるものしたほうが良いのではないかと思います。

この本によると、世界的に有名な数学者、岡潔さんは仏教ばかり勉強して、釣りばかりしていました。専門とは違うことの中に直観やひらめきが磨かれる。だから、「読んだら何かを得れる」というものではなく、あえて無駄な本を読む。非効率だからこそ得れるものが沢山あるとのことです。

考えることを放棄しない

自分で「なぜだろう」と考えないで、「だれだれ先生がこう言ったからそうなんだ」と言って何の疑問も持たない

これ、私は結構危ういと思いました。
皆さんは如何でしょうか?

過去の出来事でいうと、緊急事態宣言前のトイレットペーパー買い占めです。

新型コロナウイルスのために「トイレットペーパーが手に入らなくなる!」といったデマやSNSによる拡散で、多くの人がドラックストアに殺到しました。

私も噂を聞きつけて、実家に「トイレットペーパーあったら買って!」と思わず電話しました(笑)
「誰かが言った」「皆がしているから」など、自分で確認もせずに本気にしてしまうのは本当に良くないですね。

これは人間関係にも言えると思います。

「あの人ってこうだよね」という良くないお話を聞いたり、その時に「今の嫌だな」と感じる出来事があるかもしれません。
これらによって「あの人はこういう人だから苦手だ。」と決めつけてしまうのは、本当に良いのでしょうか。

もしかしたら、その人に何か事情があったのかもしれません。
そんな時に「なぜだろう」と背景を考えてみると、何か自分の変化に気づく事があるかもしれません。
もっと物事を球体的に考えていきたいものです。

自力で考え行動できる人であれ

本に登場してくる『得する人』で、幼稚化しないためのヒントを見つけました。

それは、「〈松葉杖〉なしに自力で歩ける人になれ」です。

松葉杖とは何だと思いますか?
人によって様々だと思いますが、本にはこう書かれていました。

それは、携帯です。
「携帯がないと生きていけない」という人が多いのではないでしょうか。

最近の大人は自己重要感が減っているといわれています。

子供の頃はちょっとした事で褒められて自己重要感を満たしていた人でも、社会人になると褒められるどころか怒られる。すると自己肯定感を満たそうとして、注目してほしい、認めてほしい気持ちが強くなり、SNSのいいねの数を気にしたり、ネットニュースなどで良くないニュースがあると腹いせのようにズタズタ叩き潰す人が出てきます。

SNSは友人だけでなく芸能人など、普段会えない人と繋がりを持てるなどの良い面もありますが、過ぎると心が縛られるなど窮屈な面もあります。

人は誰もがプレイヤー

清水さんの言葉で「ファンになるな。プレイヤーになれ」という言葉があります。

ある人に憧れて、その人の思想や行動に付き従う人たちをファン。ただファンだとその人を追いかけるだけで終わってしまい、自分で考えなくなる危険性がある。

憧れを持つだけでなく、自ら動くプレイヤーになる。

松葉杖なしに歩けるプレイヤーになりたいですね。

そのためには、悪い種を枯らし、良い種を育てること。
悪い種を枯らすためには、良い言葉や良い出会いをすることだとこの本で教わりました。

素晴らしい出会いをするためには、自分のレベルを上げていかないと話が合わなくなってしまいます。だからこそ、読書の名の通り、読んで(インプット)書いて(アウトプット)行動(アウトプット)をして自分が錆びないように動き続けていきたいです。

この本は、151ページなので量は多くありませんが、ある成功法則をきちんと説明していたり、物事の本質と向き合っている本なので、ブログでは書ききれない内容が詰まっているので、試しに手に取ってみると良いかもしれません(^-^)