オンとオフの切り替えが、生活のメリハリとなり生活の質が上がります。
私は「ちゃんと休んでいる?」と聞かれることがありました。今回の合宿で身体だけでなく心に余裕を与えることが、休むことだと実感しました。そして切り替えが速くできるから競技と勉強、遊びのバランスが取れて生活の質が上がります。競技と生活は互いに影響し合っています。だからオンとオフの両方に気を配る大切さを学びました。
目次
私生活の充実がパフォーマンスになる
6月11日から27日までフェンシングの合宿でアメリカへ行きました。
カシフォルニア州のサンフランシスコにある「San Francisco Fencers’ Club」が、アメリカの年齢別の全国大会「ナショナル」に向けて行う夏合宿です。
この合宿は毎年、海外から数名の選手を招待して練習しています。
日本が招かれた経緯は、このクラブのコーチと日本代表の外人コーチが知り合いだからです。他の国ではロシアの選手がいました。
日本からは、私を含めた女子3人が合宿に参加しました。
2017年のジュニアワールドカップでベスト8になった同い年と、2018年の世界カデ(U17)選手権でベスト8入りした高校生が一緒です。
通常の練習は朝10時から13時まで。試合形式の練習は朝10時から夕方まで練習しました。午前午後の2部練習でフェンシング詰めの合宿になるかと思いきや、観光やホームパーティ、アメリカに住んでいる日本人とお話することで現地の生活を満喫することができました。
写真はゴールデン・ゲート・ブリッジにて。
練習の限られた時間を集中して行い休みの日は、クラブの家族や現地で知り合った日本人の家族が観光や食事を計画してくれました。
そのため、練習以外の生活で学べることがありました。それは、フェンシングと生活は切っても切り離せない関係にあるということ。だから練習だけではなく、私生活にも目を向けてバランスを保たなければいけません。海外の人は、日本と比べても休みが多いです。
現地で仕事をしている日本の方も「アメリカのほうが自由に休める。だからプライベートも充実して仕事も頑張れる。」と言っていました。
切り替えの早さは試合に現れる。
練習が終わった後にすぐクラブの人が帰るので驚きました。時間になると荷物を持ち、練習場を出るのです。時には「これから買いもの行ってくる」と言っておしゃれをしている人もいました。
切り替えが速いからこそ、試合での気持ちや戦術面でも「切り替え」が速く、前向きになれるのではないかと思います。
私は今回の合宿での試合で、ある技でのミスを引きずり過ぎたのが原因で負けました。
ミスから吹っ切れたのは14-10で相手が勝利まであと1点と迫った時でした。
私は14-13まで追いつきましたが、同点にしようと仕掛けた技を防がれて負けました。
その試合の中で「ミスを受け入れ、その技が使えないなら違う技をやろう」と素早く切り替える力が私に足りませんでした。また、点差や試合経過時間を確認せず、ミスしたプレーで点数を取ろうとし過ぎて、勝つためにすべき戦い方へ目が届きませんでした。
ミスを引きずる時間を新しい作戦のために考えたほうが、勝負の展開が変わる確率は上がったと反省し、「切り替え」が大切だと学びました。
心と時間の余裕が質を高める
アメリカ合宿中は、時間が経つのがゆっくりと感じました。
余裕があるかで物事の捉え方が違うからです。
アメリカでの食事は会話を楽しみながら食べます。
私たちは、2年前に埼玉からアメリカに引っ越してきた日本人家族(H家)の1階を借りて生活をしていました。
H家は夫婦と小学生3人の子どもがいる5人家族です。「今日はどうだった?」と話しながら楽しく食事をしていました。
日本での「あれもこれもやらないと」とせかせかして食事をする生活と比べると、心の余裕が違います。食事をすることで気持ちが晴れて、次に取り組むことができるため、大変そうに思えることが意外と簡単にこなせます。
常にやらないといけないことで追われている状態だと、目の前のことを片付けるのに精一杯で、質に目が届きません。余裕があるから質に気を配れます。
また、ひとつのことに考え込まず、違うことをしているほうが、考えがひらめきます。
人と関わることで新しい発見があり刺激になる。
H家がサンフランシスコで知り合ったお友達は、元競泳日本代表のオリンピアンの女性でした。
その方は、北京オリンピックに出場した後、現役を引退しました。
私は、その方から現役中に何を考えながらやっていたかお話を聞くことができました。それは「水泳以外にできることを持つこと」です。
競技が出来なくなる日は誰でも来るから、すぐ次に移れる準備をすることで心の余裕になる。競技の他にできることを持つことで、その人にしかできない価値が生まれる。世界で勝つのは競技力だけではないと教えてくれました。
フェンシングは生活であり、生活はフェンシングである。
私は競技者である前に、ひとりの人間です。
人間性という土台がしっかりしていないと競技の器も大きくなれないと感じました。
休むことは、気持ちが切り替えられ余裕が生まれます。
そしてフェンシングから離れて、人と関わり自分と向き合うことで新しい考えが得られます。これからは更にオフに重要性を置き、やりたいことに挑戦して刺激を受けながら毎日自分をアップデートしていきます。