正しい身体の使い方を身に着け、柔軟性を高めるバー・アスティエ。
継続的に行うことで日常生活の疲労を軽減し、競技のパフォーマンスでの効果を実感します。
目次
バー・アスティエとは音楽と合わせて床の上で行うストレッチ
床に「寝る」「座る」の姿勢でバレエストレッチを行うのが「バー・アスティエ」です。
フランス人のバレエ教師であるアラン・アスティエ氏が考案しました。
バーとはバレエのレッスンの時につかまる木の棒のことで、バレエレッスンではバーを使ってストレッチの動作を行います。バー・アスティエでは床がバーの代わりとなり身体を安定した状態で、ストレッチをします。
年齢・性別・キャリアに問わず、すべての人に有効であるという理念のもと、解剖の知識に基づき構成されたエクササイズです
マットを敷いて行い、テンポ・リズム・メロディの中で実践され、まるでダンスの振り付けのような動きをします。
筋肉の力だけではコントロールできない体の軸となるインナーマッスルを鍛えられる
レッスンでは関節の可動域を感じながら、肩甲骨や股関節、体幹部分の深層筋をコントロールして動かすように心がけます。
自分の身体を知ることで、身体のバランスやインナーマッスルの筋力、柔軟性を向上をさせながら心と体の一番良い状態を発見することが狙いです。
私は2年前からリズム感のトレーニングとして始めたジャズダンスのスキルを磨くためにバーアスティエを始めました。
ジャズダンスのスタジオには10種類のクラス(ヒップホップ・バレエ・ピラティスなど)があり、その中のひとつにバー・アスティエがあります。
バー・アスティエのクラス紹介の張り紙で、「人間の本来持つ身体の可能性を蘇らせ、発展させていく」という言葉をみて「これはジャズダンスだけなくフェンシングにも生かせそう!」と思ったのがきっかけでバー・アスティエを始めました。
始めは表面の大きな筋肉で身体を動かし、腕や足を力に頼りガチガチな動きしかできませんでした。先生に「力でコントロールするのではなく、骨から動かすイメージでやってごらん。正しく身体を動かせば、身体の奥にある細い筋肉が使えるようになるから」と言われ、初めはわずかな感触だったのが少しずつ意識して動かせるようになってきました。
身体の構造を知り日常生活やフェンシングで効果を実感
効率の良い動きで日常生活での疲労を軽減
以前よりもっと自分の身体に興味を持つことで、私は日常生活でも無意識に力を入れてることに気が付きました。普段から行う字を書く動作で「前傾姿勢で、肩に力を入れ過ぎている!」と違和感を覚えるようになりました。
また、大学に通う時に使う大江戸線の長いエスカレータでは「階段を上ると太ももの筋肉を使うからトレーニングになる。ラッキー。」と思っていましたが、それは間違った体の使い方で不必要な筋肉を発達させるネガティブな行為でした。
股関節の収縮を正しく行うことで、階段を上がる時の太ももの筋肉への負担はほとんどありません。むしろ疲れにくく階段をスタスタ上がることができるので、こっちのほうがラッキーですw
身体と向き合うことで今まで気が付かなかった身体の負担に気づくことができ、効率の良い動きが疲労を軽減しているのだと実感しました。
フェンシングの動作に軸ができ粘り強さの向上
今まで見落としていたインナーマッスルを鍛えることでフェンシングの構えに軸ができ、腰の位置が低く安定したプレーができるようになってきました。
バー・アスティエを始める前、始めて1年目、2年目の今、と試合の映像で比べると動きが全く違います。始める前は体が上下に動き、フワフワして地に足がついていない状態でした。
映像をみて過去の自分を振り返ると「あの時よくあれでフェンシングをしていたな」と褒めてあげたいですw
今では棒線を書いたような軸があり、重心移動のある攻めと守りの切り替えしで、得点を取っています。またボディバランスを崩した場合でも態勢を立て直したり、剣を動かす手は止めないようにする踏ん張りも利くようになりました。
自分の身体と向き合い、身体に秘めている可能性を知る時間
バー・アスティエは自分の身体の伸びしろを感じ、理想とする動きに近づく時間です。
レッスンで腕を肩の高さに上げて横方向に伸ばす動きをしました。私がこれ以上伸びないと思っていても、先生が「もっと伸びるな~」と言って私の腕を引っ張りました。
すると上がっていた肩が下がり、さらに横へ伸びました。
その時に私の身体には想像ができない可能性を秘めており、「できない」と限界を決めてはいけないと思いました。
またレッスンの回数を積み上げることで、今までは先生の力を借りないとできなかった動きが一人でもできるようになり、フェンシングの動きに生かせた時は成長と喜びを感じます。
やればやるほど課題が見えますが、それに気づけたことがチャンスです。
小さな成長や課題を見逃さず、自分と向き合ったことへの自信を持ちながらフェンシングにこれからも生かしていけたらいいなと思います。