フェンシングの入門である種目の違いや競技の仕組み、判定の方法を簡単にまとめました。
種目による有効面や用具と武器の違いを理解することでフェンシングの種目ごとのルールが区別しやすくなります。また競技の仕組みや判定方法を知ることで、より臨場感を味わいながら試合を観戦できますよ。

フェンシング競技とは

  • ヨーロッパで発祥した剣を使うスポーツ競技。
  • 剣を片手で持つ2人の選手が向かい合い、有効面を狙って戦う。
  • 電気審判器が有効面を射たか否かを、ランプを使って表示する。ランプの色は審判や観客が判断をしやすいように片方の選手が赤、もう片方の選手が緑である。
  • 無効面では白ランプが点灯する。
  • 点数の加算は審判が電気審判器のランプと各種目のルールに沿って判断する。

フェンシングは3種類

フェンシングは「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3種目があり、ルールや有効面が種目により異なります。
競技人口が世界的に多い種目はエペ、日本では初めにフルーレ習うのが一般的になっています。(私がしている種目はフルーレ!)

銀色のメタルジャケットが有効面で攻撃権があるフルーレ

  • 有効面は銀色のメタルジャケットを着た胴体(金太郎の腹掛けのようなもの)
  • 剣の先がスイッチのようになっており、スイッチが500g以上の力で押されると電気審判器のランプが光る
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  • この剣先のスイッチことをポイントと呼ぶ
  • 同時に着いた場合は「攻撃権」を持っている選手に点数が加算される

攻撃権とは選手のどちらかが持っている権利で「優先権」とも呼ばれます。
攻撃権は先に攻撃を仕掛けた選手に与えられる。しかし攻撃権を持っている間に足が止まる、または相手に剣を触られ場合には相手に攻撃権が移り変わります。

全身が有効面で攻撃権はなく、突けば得点になるエペ

  • 頭からつま先までの全身が有効面
  • フルーレと同じ剣先のポイントで相手を突く。フルーレと違って750g以上の力でないと電気審判器のランプが光らない
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  • 突けば1点で、お互いが同時に突いた場合は両選手に点数が加算される
  • 攻撃権はない

上半身が有効面で攻撃権があるサーブル

  • 騎馬戦が競技化された
  • 馬に乗った姿勢のように、上半身全てが有効面
  • フルーレのように銀色のメタルジャケットを着る(銀色の部分が上半身)
  • 剣先はフルーレとエペと違ってポイントがなく、相手の有効面に剣のどこかが触れると電気審判器のランプが光る
  • フルーレのように「攻撃権」がある

試合のカテゴリー

競技は男女分けて、年齢別のカテゴリー大会があります。

  1. 小・中・高・大学生の大会
  2. カデ(17歳以下)・ジュニア(20歳以下)・シニア(年齢制限なし)・ベテラン(女子は35歳・男子は40歳以上)
  3. オリンピックはシニアカテゴリーで行います。
    レスリングなどのように体重での階級はありません。

    選手は14mのピストの上で前後に動く

    競技をする場所をピストと言います。

    • 選手が前後に動ける長さは14m、横は1.5mから2mの間
    • 大会ではピストが複数あり、番号や色で分けられている(例:1ピスト・2ピスト、レッドピスト・ブルーピスト)
      試合の始めは選手が中央線に沿って構える(選手間は4m)
    • 審判の掛け声で試合を行う
    • 防具と武器

      防具や武器にはFIE規定のものを義務づけています。
      (FIEとは国際フェンシング連盟をフランス語で略したもの)
      大会によって事前に防具と武器の検査を行います。
      検査に通らないと試合をすることができません。

      防具

      • ユニホーム上(長袖)
      • 半袖プロテクター
      • チェストプロテクター(女子は必須)
      • ユニホーム下(野球部のユニホームパンツのようなもの)
      • ハイソックス
      • グローブ
      • メタルジャケット(フルーレとサーブル)

      武器

      • マスク
      • マスクケーブル(フルーレ・サーブル)
      • ボディコード

      写真で見えるのは、メタルジャケット・ユニホーム上下・ハイソックス・グローブ。
      顔を覆っている黒い物がマスクで、手には剣を持っています。
      ユニホームの内側にチェストプロテクター・半袖プレテクターを着ている。
      ボディコードはユニホームの内側から通し、剣と電気審判器に電流が流れています。

      フルーレの剣とボディコード

      フルーレ剣はソケットが2つ

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      ボディコード

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      • ボディコードは中央にある2本の差し込みプラグは剣のソケットに繋ぐ。
      • 右側にある3本の差し込みプラグは選手の後ろにあるリール(審判器と選手を繋ぐ糸のようなもの)のソケットに繋ぐ。
      • 左下にある銀色の洗濯バサミのようなものは、メタルジャケットに挟む。
      • ボディコードに巻き付いている青いものは用具検査の通過の印。

      エペの剣とボディコード

      エペ剣はソケットが3つ

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      • ボディコードは剣とリールのソケットは両方とも3つで、ボディコードは3本の差し込みプラグ
      • 有効面は全身のためメタルジャケットは必要ない

      サーブルの剣とボディコード

      • サーブル剣のソケットは2つ。
      • フルーレと同様でメタルジャケットを使うため、ボディコードはフルーレと同じ。

      競技の仕組み

      競技はプール戦(予選)とエリミナシォン・ディレクト(トーナメント)があり、プール戦の結果でエリミナシォン・ディレクトの通過と組み合わせが決まります。
      大会によって前回大会の成績上位者や国内・世界ランキング上位者はプール戦が免除され、エリミナシォン・ディレクトに直接進出できる。
      公式な試合に敗者復活戦はありません。

      勝負の点数と試合時間

      プール戦

      • 5本勝負で3分間の1セット
      • 人数は4人から7人で大会によって異なる

      エリミナシォン・ディレクト

      • 15本勝負で3分間の3セットでインターバルは1分。
      • 公式は15本勝負。ローカル大会で10本勝負がある。

      試合の勝敗

      • プール戦は5本、エリミナシォン・ディレクトでは15本を先に取った選手が勝利
      • どんな技でも全て1点(バスケの3ポイントシュートや空手の2点・3点技はない)
      • 減点はない
      • 時間切れの場合は得点が多い選手が勝利
      • 得点が同じ場合は、選手のどちらかにプリオリティ(優先)を決めて1分間の1本勝負を行う。1本勝負を取った人が勝利で、1分経っても決着が決まらない場合は、プリオリティのある選手が勝ち。

      判定

      • 審判が電気審判器のランプと種目のルールに沿って判断する。
      • 選手は審判に従わなければいけない
      • 大きい大会ではエリミナシォン・ディレクトでビデオ判定がある。
      • 審判の判定に不満がある選手は、両手で審判に長方形を作るジャスチャーでビデオ判定を要求することが可能
      • 選手がビデオ判定を要求できる回数は3回
      • ビデオ判定で成功すると(自分の判断が正しい)要求回数が減らないが、失敗すれば(審判の判断が正しい)要求回数が減る。

      バレーボールやテニスのチャレンジシステムと似ていますね。
      フェンシングは角度をつけてみると、攻撃権の見え方が変わるためピストの中央にある1台のビデオで判定します。

      反則

      • 反則するとイエローカード(警告)・レッドカード(相手に1点)・ブラックカード(退場・活動シーズンの2か月間の出場停止)が審判から出される
      • 反則とはルールに反することで、例えば腕で有効面を隠す行為や暴言などである
      • 反則の重さで1回目にレッドカードやブラックカードになる
      • 試合会場に足を運べばもっとフェンシングがわかる

        今回はフェンシングの入門である種目の違いや競技の仕組み、判定の方法を簡単にまとめてみました。フェンシングは実際に会場で観るのが1番面白いです。
        映像では伝わり切れない試合の緊張感やプレーの迫力が会場にあります。

        5月の駒沢体育館で行われた試合で、応援に来てくれた大学の友人が
        「フェンシングって想像以上にかっこいいね!今まで全く知らなかったけど少しわかった。もっと知りたいからまた応援にいくね。同世代の頑張りが刺激になる。」
        と言ってくれました。

        身近な人がフェンシングに興味を持ってくれて嬉しかったです。
        私のフェンシングをしている姿が誰かの勇気になり背中を押すきっかけになれるよう、誰よりも強くなりたいと更に思いました。

        私の試合を観に来てくれる方々が「フェンシングってこんな技もあるの!」と良い意味で期待を裏切るプレーができるように日々練習を積み重ねます!